75歳以上の高齢者が運転する、普通自動車に表示する「高齢運転者マーク」と、そのマークを表示した車に対する保護規定が実施されるなど、急激に増加している高齢運転者の安全運転が、近年大きな課題になっています。
「まだ若い」と思っていても、思った以上に身体能力は年齢とともに低下します。「謙虚さ」も事故防止のポイントのひとつです。
高齢運転者の致死率は「若者の1.5倍」
平成9年全国で発生した人身交通事故は、77万件を超えましたが、このうち65歳以上の、いわゆる高齢運転者が第一当事者になったものは、54,000件余り、約7%を占めています。
高齢者の事故に関して特に問題なのは、他の年齢層の事故に比べて高齢運転者は致死率が高く、事故が多いといわれる若年層の致死率の、1.5倍となっていることです。これは高齢になると身体の自己防衛能力が低下し、事故時の衝撃ダメージを受けやすくなるからと、考えられています。
年とともに身体能力も低下
高齢になると衰えてくる身体の機能はさまざまですが、自動車の運転に関しては、まず「視力」です。小さい文字が見えにくくなり、運転中のメーターチェックも、若い頃よりも時間がかかってしまいます。
また「動体視力」とともに、危険をすばやく発見するために必要な「認知能力」が低下し、目で察知したことを脳に伝え、身体を動かすまでの「反射神経」も衰えてきます。
一方、「筋力」の衰えは、運動していれば、ある程度カバーすることができますが、長時間運転や無理な運転は、疲れが現われやすくなるでしょう。
もちろん衰え始める時期や、その程度には個人差はありますが、若い頃に比べると、誰でも徐々に身体能力は低下します。
「まだまだ若い」と過信せず、ハンドルを握るときは、自分自身の身体能力を、謙虚に見つめ直すことも事故防止のポイントです。
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